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第82回「武禅一の行」9─こちらへどうぞ

武禅には、「従う」というセクションがある。
やり方はその時によっていろいろ。
2人ペアになり、1人が腕を振り、もう1人がその腕の行きたい方向へスッと誘導するというものもある。
タイミングが合わなかったり、力で引っ張ったりの違和感を感じさせたら、相手は動かない。
初めての人同士だと上手くいくこともある。
違和感を感じるレベルが低いのと、頑張っている相手に合わせてあげたいとの思いが働くからだ。
しかし、回を重ねるごとに、また経験者と組んだりすることによって精度は増していき、
「できない」ということを思い知る。
「そもそも誰にも絶対にできないんじゃないの?」という疑念が頭をもたげてきても、
それはすぐに打ち消される。
先生は出来るからだ。
誰とやっても、何度やっても何の抵抗もなく連れて行かれ、それが面白く気持ち良い。
今回の「従う」はこの方法ではなく、歩いている人に「どうぞ」と手で示して、
行かせたい方向へ連れて行くという稽古をした。
身体に触れる触れないの違いはあっても基本的なことは同じ。
「どうぞ」に相手が自然に気持ちよく付いていけるようにしてあげなければならない。
普通にスタスタ歩いている人の前で「どうぞ」とやる。
「ん、何?」と見てもそれだけ。大抵は無視。中には「邪魔だ」と感じる人もいる。
先生が「どうぞ」とやると、何が何だかわからないけど「あれ?あれ?」と思いながら足が付いていく。
なのに、他の誰もできないのはなぜなのだろう。
「出来ない、出来ない」で皆が深刻な顔になってくると、先生はちょっと変わったやり方を見せてくれた。
手を繋いで歩いている三人に対しての「どうぞ」なのだが、それがただの「どうぞ」ではない。
パンパンと手を叩きながら、「にいさん、若い子いまっせ、わっかい子!」と呼び込みだ。
道場の中は、一瞬にしてネオンきらめく繁華街。
会社帰りに一杯やりに来たサラリーマン達は、この調子のいい呼び込みに連れられて店に入っていく。
あまりに意外な展開に皆、ドッと沸く。
そして、「これならできそうかも」と思ってやってみるのだが、そうは甘くない。
呼び込みの真似事をしても、どうも気持ち悪いのだ。
誰がやっても先生みたいにネオンきらめく繁華街にはならない。
さまになっていないというか。
当然、それに従う人もいないし、
それどころか小ざかしい手を使って人を思い通りに動かそうとされることに腹が立ってくるほどだ。
照れとか、探るような目とか、迷いとか、媚とか、そんなものを押し付けてこられる不快。
ある男性が先生と同じように「若い子、若い子」とやっても、
される方は「若い子がどうした?」で、全然「どうぞ」になっていない。
20歳の女性が男性三人が歩いている前で、顔を覗きこんで「いらっしゃい、いらっしゃーい」とやる。
すごく不自然。そんなキャラではないはずなのに、無理しているようで。
と、他人の事はわかっても、自分もまったく同じ事をしてしまい、それをどうしていいのかわからない。
「喋る言葉なんかどないでもいいんや」と先生は、
次々と「ヘネシー、ごっひゃくえん!!」とか、「ババア、ババア」とやって見せてくれる。
興味を惹きつけるというのだろうか、「面白いことがありそうだ」とそっちに行きたくさせてくれる。
というのが正確かどうかわからないが、そんな気持ち。言葉にすると、ちょっとズレる。
見回してみても、ぎこちない人が多い中で、スーパーの店長をやっている男性の
「本日特売!お買い得ですよ~」は店の雰囲気が感じられるようで、結構いい線いっているような。
釣られそうになったのは、私が主婦だからだろうか。
誰かが「先生、全員に『どうぞ』できますか?」と聞き、それじゃあやってみようかということになった。
13人が横に並んで手を繋ぎ歩き、右端に先生が立って呼び込み。
さすがにこれは、道場の長さが足りず、半分が呼ばれる方に向いた所で壁に突き当たってしまったのだが。

私は前々から不思議に思っていたことがある。
どうしてこのセクションが「従う」なのだろうか、と。
腕振りの場合は、腕を振っている相手の力の方向や早さに「従う」ことで、
行きたい方向へ行かせてあげるのだからわかるとして、「どうぞ」は違う。
「どうぞ」とされる方が従う側なのだから、
働きかける方は「従わせる」稽古をしていることにならないだろうかと。
だが、本当にそうだろうか。
「対立しない」「自分はいらない」を基本信条とする日野武道で、
「思い通りに他人を動かすにはどうしたらいいのか」ということを教えるだろうか?
その疑問の答えが、今回の稽古でほんの少し見えはじめてきたような気がする。
「どうぞ」をするとき、私は相手をきちんと見ていただろうか。
誰に、何をということを明確に伝えただろうか。
自分の演技にばかり没頭し、妄想で作った相手の反応を恐れるという表現をしていなかっただろうか。
間違いなく言えるのは、私は相手にとって違和感バリバリの気持ち悪い人でしかないということ。
やはりこれは相手に「従う」稽古なのだ。

どのセクションでも何度も何度も同じ過ちを犯してしまう。
いつも「一緒に」ということを忘れて、「“私が”出来るようになる」を頑張ってしまう。
とことん寂しい人間だなぁ。私は。

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