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クソドラマに怒りを込めて──「歸國」を見て1

終戦記念日、感動する良いドラマを見るつもりが、うっかりクソドラマを見てしまった。

倉本聰脚本の「歸國」のことだ。

65年前に南の海で戦死した英霊たちが、平和になった日本の今を一目見ようと
終電後のJRのホームにSLで到着、という所から物語りは始まる。

はたして彼らが命をかけて守った日本は、願った通りの未来を築けたのか。
彼らが幻滅するような今になっているとしたら、我々はどうするべきなのか。
礎となった人々に報いるために、そして未来を託すこれからの人々のために。
そいういったことを考えさせてくれるドラマなのだと思って見たのだが、
こんな胸糞悪さにもだえ苦しむ事になろうとは。
ああ、見て損した!

私はそもそもが霊の存在は信じていない。
だから英霊たちが死んだ時と同じ肉体の姿かたちで人格を持ち、
歩き、見て、考えるなど、ナンセンスも甚だしいと言ってしまえばそれまでだが、
まあそれは、人間の空想力で作るのがドラマというものだから良しとする。
ありえない「もしも」を考える事が、人の心を豊かにすることもあるから。

しかし問題は、その設定。

【むかつきポイント その1】
なぜ肉体が滅んだ後も、その骨のある場所に留まり続けなければならないのか。
海で戦士した魂に、普通に死んだ人のようには成仏できないと言わせている。
こんな話、戦死者の遺族にしてみたら堪ったものじゃない!
死者への冒涜だろう!
どこでどんな死に方をしたって、死ねば人は皆、仏じゃないのか。
日本人とは到底思えないような考え方だ。

他にも、意思表示ができなくなった人は早く殺してやった方がいいみたいな話や、
マスコミが自分たちの善悪の判断に基づいて報道するわけではない事への批判とか、
気持ちの悪い独りよがりの観念の押し付けがあちこちに散りばめてあって、
「えっ?」「えっ?」と首を傾げることばかり。

そして極め付けが、ビートたけしの演じた役。

【むかつきポイント その2】
霊のくせに、妹の息子を惨殺してしまうなどとは、あまりにもひどい。
その理由が、妹が戦後の貧しい中で苦労して育ててやったのに、
高い地位について成功しても、年老いて寝たきりになった母親を見舞いにも来ず、
葬式も他人任せで情がないから、カッとしてというのだからどうしようもない理不尽さだ。
現代の若者を感情の制御が出来ず短絡的でキレ易く、すぐ暴力に訴えるなどとは絶対に言えない。
舞台でもこれと同じストーリーなのか、それともたけしのために
無理して北野作品に多いバイオレンスの要素を取り入れたのかどうかは知らないが、
戦争でもないのに人を殺すことが肯定されてもいいのだろうか?
何かを守るでもなく、ただ感情のままに制裁を加える死人など、ただの悪霊の呪いではないか。
しかも、大事な大事な自慢の妹が、大事に大事に幸せになることを願って育て上げた一人息子を。
いくら親をないがしろにした薄情な息子であっても、殺されたら普通、母親は黙ってないだろう。
なのに、ケラケラ楽しそうに笑っているのだから、それは時代がどうのこうの以前に、
最初からこの親子の愛情は存在していなかったということだろう。

【むかつきポイント その3】
殺された妹の息子が、「どうしたらいいんでしょうか」とたけしの前に現れて、
タコ殴りされて「ありがとうございます。嬉しいです」も、本当にわからない。
なぜ殺された途端、自分が何十年も積み上げてきた人生が過っていたと気付くことができる?
そんな簡単なものなら、殺さずとも教えてやればよかったではないか。
言うなり、一発殴るなりして。
そもそもいきなり説教したり殴ったりしたからといって何が伝わるということもないのだが。

よしんば、100歩譲って鉄拳制裁(というか刺殺だが)に教育的意味合いがあったとしても、だ、
今更気付いたからといって、もう遅いだろう。
死んでしまったらお終いだ。
よく、子どもを殴る蹴るで殺しておいて「虐待ではなく躾だった」という親がいたりするが、
このドラマを作った人間たちは、死んだ子どもが
「悪いところを教えるために殴り殺してくれてありがとう」と言うように思うのだろうか。

そして何より恐ろしいのは、
暴力に意味づけをすると正義になるという思想は、
戦争礼賛に他ならないということ。


こんなものを終戦65年記念日によせて放送してはいけない。

日本は力が弱くて負けたが、もしも強くて勝っていれば正義だった、というのが戦争だ。

戦前の日本人は正しく、今の日本人はダメになったと言うのは簡単だが、
ここに繋がる道を作ったのは、
紛れも無く戦中、戦後を生きてきた古い日本人たちなのだ。

その責任は棚上げか?
それとも、戦勝国と立場が入れ替わって、累々たる死体の山河の上に大日本帝国が君臨していれば、
今の日本人はもっとマシだったと、そういうことが言いたいのだろうか?

このクソドラマには、確かに現代の日本の歪みがギュッと凝縮されている。



戦没者の御霊の安からんことを心よりお祈りします。

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