スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

自己愛─自分大好きモンスター

哲学者が持ってきた手書きの原稿をパソコンで文字入力するのが私の仕事。

主語、述語入り混じるハチャメチャな文脈を解読し、適当な所で句読点を入れ、
適切な言葉に置き換え、正しい漢字に直し、何度も何度も繰り返される文は一つに削り、
足りない言葉は補い、一応はちゃんと読めるぐらいに文章としての体裁を整える。

全何巻の大全集になるのかならないのか知らないが、そこは私の責任ではないので、
これも文章力を磨くための練習だと思えば仕事自体は楽しい作業だ。

哲学者はあちこちに書き散らす。
原稿用紙はどっさりとある。ノートも何冊もある。
しかし、思いついたときにたまたま手近にあった電化製品の説明書の端や、
納品書の裏とか、楽譜とかに前後の脈絡もなく思いついたことを書くのが癖。

前に何度も書いた同じことや、手元の資料の丸写しなんかは、
そんな急いで書く必要もないだろうと思うのだが、とにかくそんなことが多い。

先日は、何枚もの茶封筒の両面にバラバラと書いてきた。

「そんな物に書かなくても、ノートは沢山ありますよ」と渡すと、
ページをめくって以前書いた文を読んで、
「これ僕が自分で考えて書いたもの?それとも何かを参考にしたのかな?」と首を傾げる。
私が知るわけがない。

そんな事は放っておいて、とにかく仕事、仕事、とテキストを入力していると、
「この元の原稿は捨てずに全部とっておいてくださいね」とのこと。

「後の時代に高い価値が付くものだから」
だそうだ。

彼の今後の予定はこう。
「書き上げた原稿を持って大きな出版会社を回れば、
 数社から「ぜひうちから出させてください」と頭を下げて頼みに来るだろう。
 その中で一番条件が良い出版社を選んで、専門の編集の人間を付けてもらう。
 本にしたときに読みやすいように本格的に文を練り直したり、プロのイラストを入れたりして、
 まずはハードカバーの本を完成させたら、大々的に宣伝をして売り出す。
 これまでにない内容なので、たぶん反響は大きい。
 ノーベル賞を取ったような科学者たちもいろいろ質問してくるだろうが、
 何を聞かれても答えられるように裏づけとなる資料は揃えてあるので大丈夫。
 第一版は日本で出すが、そのうち海外からも翻訳したいというオファーが来て、
 世界中で話題になることだろう」

「僕の本を読んで驚いて『一人の人間がそんなにいろいろな事について知っているわけがない』と、
 僕一人で書いたことを疑う人がいるかもしれないからね。
 そのときに元の原稿を見せればわかるだろう?」
だそうだ。

「しかし不思議なんだよね。
 寝てて起きた時にパッと頭にアイデアがひらめくんだよ。
 あまりに不思議なので、もしかしたら妄想癖があるんじゃないか
 心配だったこともあるぐらいなんだけどね。ハハハ。

 でもこれは、僕がやらなければならない、僕にしかできない使命なんだろうね
だそうだ。

もっと真面目に心配したほうがよかったと思う。

自分にこれほど自信がある人も珍しいが、
この自信の根拠は、中学校の時によく目をかけてくれた担任が言った
「君は、文章を書くのが向いているよ」というひとことらしい。

幸せそうで羨ましい性格、と言いたいところだが、痛すぎてぜんぜん羨ましくない。


私が受けたセクハラについては、夫に全部話して、
たまたま恩のある取引先の人と懇意にしていたものだから、
そちらからそれとなく釘を刺してもらって解決している。

その付き合いの長い取引先の人が哲学者を評して
「ひどく自己愛の強い人」と言われていたそうだ。

自己愛を他の言葉で言い換えれば、
自分だけを大好き人間の周囲に対する独りよがりで勝手な執着ということになろうか。


「自己肯定感を持ちましょう」
「自分を大好きになりましょう」

そんなことを、最近はどこでも言うし、
教育の場でも、ビジネスセミナーや自己啓発系のグループでも良いこととして使っているが、
本当はものすごく恥ずかしくて恐ろしいことなのではないかと考えさせられた。

褒められるだけで育った挫折知らずのボンボンは、
年を取っても夢と現実の区別が付かないガキのままだという証拠を目の前にして。

コメント

非公開コメント

No title

ぽあんさん、こんにちは。

もしかしたら、中学時代に他にやりたいことがなかったのかもしれませんね。
やりたいことが何もない不安と不満に苛まれている中で、まさかの褒め言葉。

そうか、自分は文書を書くのに向いているんだ!

で、その褒め言葉を鵜呑みにして、自分に才能があると思い込む。
褒め言葉の上にあぐらをかいてるから、才能を伸ばす努力をしない。

自分の文章を理解できないのは、それは相手の読解力がないからだ。
凡人には理解できないほど、自分の文章は時代の先を行っているのだ。
そして自分の死後に、自分の名前は永遠に人々の胸に刻まれることだろう。

***

「好きこそ物の上手なれ」であればいいんですけどね。
それが自分自身の内側からの動機であれば、飽くなき探究心に繋がりますが、
安易に外部から与えられてしまうと、自分をそれに当てはめてしまって、
そこから動けなくなってしまいます。

自分も世界も、常に移り変わっていて、それに柔軟に対応していくのが、
本来の「才能」なんじゃないかと、最近は痛切に感じています。

していることがズレている

hyodoさん、書きにくい記事にコメントありがとう。

彼は小説家を目指していたそうですよ。
でも、上京して失敗したので親の会社を継いで大きくして今。

でも、若い頃からずっと文章を書いていたとか言うわりに意味不明なのは何でだろう。
本当にすごいから。
そしてこれだけ書き続けていても、まったく上達しないのもすごい。

書きたいことなんか実はまったくないんですよ。
何も知らないから、ウキペディアから引っ張ってきたことを丸写しして平気だったりするし。

やりたいのは、とにかく立派な本を出して人々の賞賛を受けること。
だから、まだ本文が出来てないうちから感極まったような言い回しの
「あとがき」ばかり何度も書いてたりします。

真面目に努力して自分を向上させても報われない人もいるのに、
的外れなこと、人の道すら外れるようなことをしても順調に行く人もいる。

なんで? と憤懣やるかたないです。

が、そんなもんなんでしょうね。
天才的自己愛の持ち主には、誰もかなわない・・・

幸せでいられるっていいことじゃないですか

 文藝春秋の受付をしていた女性が書いた
「いらっしゃいませ」という本の中に、
原稿料がまだ振り込まれてこないのですと言いに来た人とか、
芥川賞の連絡はまだかと訪ねてくる人の話が書かれていました。
いずれも自分の中だけで作家になっている人でした。

 地元の図書館に毎日来てる
気味の悪い30台くらいの男性がいるのですが、
この人も作家志望なのかなあ。
毎日、朝から閉館までいます。
毎日同じ服装で、あちこち繕った擦り切れたバッグを肩にかけ、
本を手にすることで、周囲の視線に耐えている感じです。
子供はあからさまに避けます。

そこへいくと哲学者さんは、
かせぎがあってすることなのだから、
しあわせになれる道楽を持っているってことで、
よろしいんじゃないですか。
ぽあんさんの仕事、楽しそうですね。

仕事は楽しいですよ

なのみーなさん

哲学者は幸せでしょうね。道楽に好きなだけお金を使えるのですから。
やりたいことをやって自信満々なのは別に悪いことではありません。
彼はそれで満足なのでしょう。

しかし、本当の事を知ろうとせず、他人ときちんと関われてもいないのは、
成長の喜びも得られないので、私なら嫌だなと思うだけです。

会社と家との往復だけの人生に空しさを感じているのが哲学者の魂の叫びなのでしょうが、
それを金で買う女の愛で埋めようとした所が残念です。

ええっ、言い寄ってきたのは哲学者本人でしたか!

私はまたてっきり、取引先とか、社内の別の人とか、
とにかく哲学者さん以外の方に言い寄られたのかと思ってました。
それじゃ、ピシャッと言うわけにはいきませんね。
・・・勉強になりますね。

油断大敵

最初、ちょっかいかけてきたのは会社の従業員です。
それを報告したところ哲学者も激怒していましたが、
何かそこで変なスイッチが入っちゃったんでしょうかね。

「すきあらば」というのが男の本質ってのを知らないわけではなかったですが、
まさかオフィスで、まさか真昼間に、まさか素面で、
まさか立場もあるのに、まさか社会の乱れを嘆くような真面目な人情家が、
エロい誘いをかけてくるとは思いもしなかったので、大変驚いたんですよ。
身の危険の恐怖はないにしろ、別の次元に来てしまったかのような恐怖とでもいいますか。

だけどこれも、私に人を見る目のなかったためのショック。
「そんな人とは思わなかった」なんてのは、言い訳ですからね。
自分のせいです。

これからは、「そういう人」として付き合っていきます。
プロフィール

ぽあん

Author:ぽあん
広島在住。
のんびりとやりたい事だけして
暮らしています。
座右の銘は「ケ・セラ・セラ」。

★★応援しています!★★
最近の記事
武道なリンク

日野武道研究所


武禅一の行

ほぼ毎日更新
(ぜひブックマークに!)
移転しています
日野晃の
さむらいなこころ


YouTube
[SRS伝説の武道家 達人 日野晃]

YouTube
[コンサートに向けて(ドラム)]

YouTube
[2005年のfeel&connect]
9日間のワークショップを10分で紹介
http://jp.youtube.com/watch?v=hA37h1-nYPc
http://jp.youtube.com/watch?v=ADoNbkOJFjc

クイズ紳助くん 2007年2月19日
「なにわ突撃隊 こころを鍛えろ!武道研究家に学ぶ!!」
オープニング映像有



やもりこ先生のブログ
峠より

八幡 謙介さんのブログ
ギター教室講師のブログ

香月章伽さんのHP
香月ダンスファミリー

館兄さんのブログ
ボディーアーキテクト公式サイト

北村成美さんのHP
なにわのコリオグラファー“しげやん”

たてまるさんのブログ
たてまるの日記

やましろ整体さんのブログ
女整体師の 出張めがね日記

怪談師夜魔猫GINさんのブログ
オカルト酒場の片隅で

星が見える名言集100
カテゴリー
最近のコメント
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード
QRコード
RSSフィード
最近のトラックバック
ブログ内検索
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。