その手に抱きしめている物は2──愛情不足の取り戻し方

妹が離婚してから、もう10年以上になる。
その当時、3歳と1歳の子がいて、しばらく我が家で同居していた。

父親と母親が諍いばかりの不安定な家庭だったためか、
ジジババが玩具で歓心を買っては母親を貶める事を吹き込んでいたためか、
妹の上の男の子はどうも落ち着きがない子だった。
奇声を上げるわ、物は壊すわ、欲しいものを買ってくれと1時間以上も泣き叫んだりと。
可哀想な子で悪気は無いのだとわかっていても、私はどうしても好きにはなれなかった。

特にイラついたのは、何かするたびに大声で母親に言う「見ててよ」。
本を見たり、絵を描いたり、他の子たちと遊んだり、服を着替えたり、階段を飛び降りたり、
そうしたありとあらゆる事を親に見て欲しがる。
そして「○○、できたー」と言ってくる。
なんでもない事なので「見たよ」「そうね」と妹は適当にあしらうのだが、すると何度でもやる。
「見てる? 見て、おかーさん? 見てて、ほらぁ」
褒めてやれば気が済むのかと大げさに「わー、すごいね」とやってみても、
嬉しげに「じゃ、もう一回やるね。見てて」とくるので、もういい加減にせい!と腹を立てることになる。
そんなことが何度も何度も、キンキンの金切り声で繰り返される。
「この子は何でこうなんだ?」私はもう爆発寸前で、
彼に私が嫌っていることをわからせないように接するだけで疲れてしまうような毎日だった。

しばらくして妹たちは住む場所を決めて出て行き、今は穏やかな暮らしの中で子どもたちも安定している。
もう私も嫌悪感を感じることはないのだが、これは、その妹の長男が小学校一年生の頃の話。


初めての家庭訪問。
担任であった教師歴が長いベテラン女性教師は、ドアを入るなり深刻な表情で、
「今日はちゃんとお話をしておかなければと思って来ました!」と言ってきたそうだ。

担任の口から聞かされた子どもの評価は、それはひどいものだった。
人の話をまったく聞くことが出来ない、自分の世界に浸りこみ他人との関係を築けない、
今何をしなければならないかがわからない、自分勝手に動く、叱っても理解しない、
そうしたことを一気にまくし立てた。
「皆が前を向いて話を聞いているのに、一人だけ後ろを向いて空想の世界で遊んでるんですよ!
 手をこんな、こーんな風にして、『バーン、ドビューン』とか変な声出して、
 本当、どうかしてますよ。『ヒューン、ドドドド』とか、馬鹿みたい」
口をポカンと開けて本当に馬鹿みたいな顔をして目の前に見せ付けてくる担任。
最初、「はあ、すみません・・・」と小さくなっていた妹だが、あまりの言い様にあっけに取られてしまう。

女教師は更に続ける。
「私はね、心配なんですよ。○○君がこうなった原因が、お母さんにわかりますか?
 私にはわかります。
 それは、愛情不足だからです!
 離婚して一人で子育てされててそれは大変でしょうけれど、大事なのはお子さんじゃないですか。
 ○○君は愛に餓えているんですよ。温もりを欲しがっているんですよ。
 抱きしめてあげてください。
 今、それができるのはお母さんだけなんですから。

 私にどうしてこんな事がわかるのかとお思いでしょう?
 それは、私が同じような失敗をしたからですよ。
 私は教師として長く務めてきました。仕事に熱心になるあまり、
 家庭を顧みることもなく子どもには本当に寂しい思いをさせてしまったと思います。
 私も悩みました。そして子どものために生きようと決心して変わったんです。

 歪んだ心はすぐには治りません。
 回復するには、そこまでになったのと同じかそれ以上の時間がかかるんですよ。
 ○○君はまだ小さいから、今から愛情を注いであげたら間に合います。

 どうかこれから7年はかかると覚悟して、しっかりと毎日抱きしめてあげてくださいね。

 私もまだ、抱きしめて育てていますよ。
 33歳の息子を


・・・・どこをどう突っ込んだらいいのかわからないような話だが、これは実話。

妹は怒りにわなないていた。
確かにボーッとしてて人の話を聞いてないのはその通りだが、まだ小学一年生。
そこまで言うか?と。
母子家庭だから愛情不足だろうと的外れなアドバイスを押し付けて、一体何なのだろう。

子どものために生きるなら、なぜ教師を続けてる?
自分の子が治ってないのに、他人の世話をしてる場合か?

「愛情不足」なんて、一見それらしい無意味な言葉に振り回されて、
「抱きしめてあげてください」なんて、無責任なカウンセラーかなんかの言葉を真に受けて、
頭でわかったつもりになったら、他人に教えずにはいられない。
それは悲しき教師の性分?

とまあ、いろいろなことを考えてしまったのだが、一番強く感じたのはやはり、

こんな親だから子どもが病んでしまうのだろうなということだ。


妹の長男は、それからも抱きしめては育てられなかったが、
サッカーに打ち込み、勉強もそこそこ出来る、妹たちに優しいお兄ちゃんに育った。
もちろん人の話もちゃんと聞くし、手悪さもない。(笑)
今年、高校生になる。

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反省

ぽあんさん、こんにちは。

先日、保育園の娘の懇談会がありました。
かなり年配の先生なのですが、「褒めて育てる」のが大事ですと言われてしまいました。褒めて、認めてあげると子供は育つんですと。
怒るのは、委縮させてしまいダメなんですと。抱きしめてあげて下さいと。

良い先生なんですよ。子供を大事に思ってくれていますし、全く嫌な感じの先生ではないのです。

私も子供がかわいいし、いけないと思いつつ、褒めてしまいます。これ、楽だからでしょうね。
親もこんなで、先生もそんななので、ダメですね。

もう少ししっかりした親になります。

褒めるのも叱るのも

花さん、こんばんは。
大阪ではお世話になりました。

「褒めてあげてください」は、私も下の子の小学校の先生に言われました。
どの子も幼稚園時代から毎回、懇談の時に言われて来ています。

で、どうするかというと、褒めます。
苦手だったことを頑張ったとか、出来なかったことが出来るようになったとか、係りの仕事を責任感持ってやったとか、勇気を出して人の間違いを正したとかを先生が見て評価してくれたということで、「褒めてあげてください」と言われたよ、とそのまま伝えています。

子供にとっては、親が先生を信頼していると安心できますから、担任の教育方針には基本的に添うようにしています。

何がなんでも褒めてはいけないとか、常に厳しく体罰を用いて指導しなければいけないとか決めることもないと思うんですよね。

戸塚校長が言われていた通り、それがその子の為になるかどうかで判断したらいいのではないでしょうか。
褒めて喜んで調子付いたら次々高い目標にチャレンジして行こうという気になる子には褒めまくったらいいし、適当なことをして大人を舐めてかかるような子にはどやし付けて追い込んでやるのがいいだろうし、その場その時の子供に合ったやり方をしてやりたいものです。

「本当にこれでいいのだろうか?」という自分への疑いというものは常について回るものだと思います。
先々の結果は絶対的な所ではわかりませんから。
それは戸塚校長でもきっとそうでしょう。
「もっと適切な指導ができたのではないか?」「全力で向かえただろうか?」と不甲斐ない自分を蹴飛ばしながら前に進むしかない。
それが子育てだから、子供の為にすることなら、褒めても怒り狂ってもどちらも正しいと私は思います。

ただ単に子供を喜ばせる為であったり、自分が気分良く楽だからであるなら、それは間違いでしょうね。
お互い、頑張りましょう。

メールもありがとうございます。そちらの返事は明日しますね。
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Author:ぽあん
広島在住。
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暮らしています。
座右の銘は「ケ・セラ・セラ」。

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