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第80回「武禅一の行」6─重い沈黙

一日目の夜、いつものように風呂から上がると、皆が集う居間に向かった。
なにしろここのところ急に寒くなったので、体調を崩してはいけないと、
神戸のショーケースからの2週間は、アルコールを断っていた。
久々のビール。
「さぁて、飲むぞぉ!」と、ルンルン気分で中に入っていったのだが・・・・・・

「うっ!」

何?この張り詰めた静けさは。
つい先ほどまで、時々ドッと笑い声に湧いていたはずの部屋なのに、
誰も笑っていない。
ただ事ならぬ雰囲気の中、皆の視線は、ある二人に集まっていた。
sakikoさんの車に同乗して一緒に行ったOさんが、
武禅初参加のO田さんに対して、ひどく怒っている様子。
Oさんは、短気で怒りっぽいような人ではないのに、どうして?

そもそも何が発端で、どういう展開になっているのかはわからない。
しかし、Oさんが激昂して問いかける事に、
O田さんは考え込むそぶりのまま、何の反応も返さないというのが、
余計に癇に障り、そして更に声を荒げさせてしまっているようなのだった。

「何とか言ったらどうなんですか!」
「・・・・・・」
「これだけ言われたら何か言い返したいことあるでしょう!悔しくないんですか!」
「う・・・ん・・・・・・」
「僕は真剣に向かい合ってるんですよ。なぜ返してくれないんですか?
 それって僕を無視してるんですよ。失礼じゃないですか!」
「・・・・・・」
こんなことが延々と続き、Oさんは怒りが沸点に達してO田さんを突き飛ばしもした。

「こんなことをされても黙ってるのか!」
「・・・・・・」
「よしっ、それじゃ、腕相撲しよう」
なぜか唐突にOさんから腕相撲の提案。言葉が出ないなら身体で語ろうということか。
しかしそれにもO田さんは煮えきらず、
「・・・・・・」

「さあ、やろう。早く、早く」
構えて何度も誘うOさんに対してO田さんからやっと出た言葉は、
「いや・・・、まだ腕相撲ができるような状態じゃないから・・・」
次の瞬間、O田さんは後ろに吹っ飛んでいた。
Oさんが思い切り突き飛ばしたから。
(ヒー、暴力は嫌いだよ~)こういう光景を見ると、私は怖くて髪の毛が逆立ってしまう。
「できる状態じゃないって何?ここまでされてまだ向かってこないのか。お前、男だろう!」
その声にO田さんもようやく、「よし、やろう」と動き出した。

結果は、Oさんの勝ち。
しかも、やっている間も終わってからも、
「そんなものか。それで本気?全力?フン、弱い弱い」と、挑発しまくっていた。

揺さぶりをかけ、「その感情をぶつけて来い」とばかりに訴えかけるOさん。
対して、固唾を呑んで見守ってくれてる周囲への配慮もなしに
ひたすら自分の中にこもっているように見えるO田さん。

こういったやりとりを見ていると、ウズウズしてしょうがなくて、つい乱入。

「自分の感情でしょ。
 何を考え込む事があるの?思った通りを言えばいいじゃない!
 どんな気持ちなの? 何を考えているの? 聞いてるんですよ。答えて!」
それは、私としては至極当然の事を言ったつもりだった。

しかし日野先生が、理学療法士をされているAさんに意見を求められ、
そこで聞いたのは、意外な言葉だった。

「相手が答えられないのは、答えられない質問をしているからであって、
 質問のしかたが悪いです」

!!!

Oさんが悪い?私が悪い? 
ええっ、そんな。。。そうかなぁ?

先生も言われる。
「自分の気持ちを言えと言われても、自分のことは自分ではわからんもんや。
 感情が湧くはずだと思うのは自分であって、相手がそうとはかぎらん。
 『わからない』と、ちゃんと答えているのに、『そうじゃないはずだ』と
 こちらの望む答えを引き出そうとしてこられたら、そら、黙るしかないやろ」

思ってもみなかった事だった。
“自分と他人は違う”
“他人は自分の思うようには動かない”
“コントロールをしようとするから対立する”
それはわかってて、いつも気をつけているつもりだったけれど、
全然わかっちゃいなかったということ。

また、前回の武禅で、先生からレポートでいただいた一文も脳裏に蘇る。
「正論を並べるクセ」「そのまま人に当てはめる」
「一般的な会話には適しません」

読んだ時には、漠然とだいたいこういうことかな、ぐらいしか捉えられていなかったが、
今回の実場面で行き詰ってしまったことで考えると、確かにそうなっていた。

クセとは、自分にとって無意識でやってしまう自然な行為だから、
ひとりで気付くことは、まず無理だ。
初めて気が付いた。
自分のやっていること。やってきたこと。

そういう目で見れば、あの時も、この時も、と、
様々な場面で他人から誤解を受けたり、会話が成り立たなくなったり、
避けられたりした時には、大抵このクセが出た時ではなかったかと思い返されるのだ。
「石頭」「なんと無理解な」「性格悪い」「レベル低い」と、相手のせいにしてきたこと、
全部、私のせいだった?


武禅の夜は、笑い転げる日ばかりではない。
重い時間が流れる夜も、人と人の間で見つかるものは、やはり大きい。

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